過去事例に学ぶ社史漫画制作のヒント(1)

過去に制作された実際の社史漫画を読んで、これから社史漫画を制作する上でのヒントを探ります。
(※当サービスの実施事例ではありません)


社史事例_ふくや_表紙
出典:漫画博多明太子物語
社史事例_ふくや_漫画
出典:漫画博多明太子物語

漫画博多明太子物語

副タイトル:ふくやの50年
著者名等:ふくや50周年記念実行委員会
出版者:ふくや
出版年:1997年10月
大きさ:27cm
ページ数:200ページ

「博多明太子物語」という同タイトルの写真と活字によって編纂された社史と2冊セット。漫画本の方は200ページ、漫画のみ。

創業者の川原俊夫の妻、川原千鶴子によるナレーションでストーリーが進行していきます。プロローグとエピローグを含め7つの章にまとめられており、ふたりが釜山で生まれ、満電に勤めていた奉天で結婚、俊夫の召集、博多港での再開、焼け野原となった中洲市場への出店、明太子の開発・・・と、200ページの漫画でありながらNHKの朝ドラを見たような物語が展開していきます。

創業者の生涯を通じて会社の設立、成長、これから、を描いたものですが、シナリオが素晴らしいので大変楽しく読むことができました。各エピソードに割くページ数に偏りが少ないためリズム感よく読み進められるのも影響しているのでしょうか。また、ナレーション役の千鶴子もまた俊夫と共に創業に大きく影響を与え、二代目の社長を継いでいることから、一人の創業者の人物伝と見せかけて、創業メンバーを描いた社史漫画と言えそうです。千鶴子さんをめぐるエンディングに向けてのシナリオ構成は驚きました。

社史漫画では歴史的なディテールを書き込みすぎてしまうリスクがありますが、ふくやさんの場合には別冊にて歴史資料としての写真とテキストによる社史が用意されていることから、下手に漫画の中で説明に走りすぎる必要がないのもストーリー重視で漫画を作れた理由かな、と思いました。

【これから社史を作る私たちの学び】
どちらに重心を置くかは別として、歴史資料としての社史と、社史漫画とを並行して作成することも検討してはいかがでしょうか。


「漫画博多明太子物語」は神奈川県立川崎図書館他で読むことができます。
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