社史漫画は丁寧な取材が肝

社史制作では、資料の読み込み、取材への手間をかけることで価値ある歴史資料、また、リアリティのある骨太な社史の制作が実現します。特に社史漫画においては、漫画の背景画となる場所の詳細や、口に出来なかった想い、表情なども取材を通じて確認することになります。


社史漫画に欠かせない取材

社史の編纂は本当に大変な作業です。会社の規模によっては、日常業務の片手間で進められるような業務ではないかも知れません。一番大きな理由は、資料集めと関係者への取材の手間にあります。

一般社団法人など常に活動や成果物を報告する義務があるような組織や、思い出重視の特異な(得意な?)経営者がいない限り、通常の事業会社は社史の資料として役立ちそうなものは都合よく残されていません。毎日、当たり前に見ているオフィスの様子、業務中、お昼休みの風景を移した写真一枚すらないということもあります。(もっと何気ない日常こそ写真に収めたいものです!)

そんな中で、重要になってくるのは社員一人ひとりの記憶、思い出、手帳、日記などです。案外、過去の手帳なども捨てずにとってある人も多く、中にはきちんと創業者との会話の内容や格言のようなものを大切にメモしている方もいらっしゃいます。

とはいえ、いきなり取材先の皆さんが進んで過去の手帳を差し出してくれるわけではありません。では、私たちが取材を行う際、どのように進めていくかを簡単にご紹介します。

社史漫画作りのための取材の進め方

(1) 全体像を知る

まず、会社について最もよく知る方(社歴の長い経営層の方)から、会社についてお話を伺うところから始まります。創業からの歴史だけでなく、事業内容、会社組織図や、今後取材すべき方々の概略などをお伺いします。

(2)事前アンケートをとる

次に、取材にご協力いただける関係者の皆さんへ事前のアンケートを取ります。なぜなら、取材で直接お会いして話をするにも、初対面の人との会話ですぐに記憶が蘇るとは限りません。なので、一人落ち着いて自分の手帳を見返したりしながら回答できるアンケート形式が有効な場合があります。また、テキストで回答いただくものは固有名詞など、会話よりも正確に残すことができるのも有り難いです。

(3)直接、面談でお話を伺う

事前のアンケートを元に、ある程度、深堀りしたいトピックもあるかも知れません。また、会話の中から、ご本人にとっては“当たり前”と思っているけれど、取材者側としては思いがけない発見があることも多くあります。最低でも数十人の関係者への面談を行い、重層的に会社の歴史、そして文化、社風を読み取っていきます。

また、私たちの場合は漫画で社史を作ることを専門にしていますので、取材者のお顔(色んな角度や表情も!)や、会議室、執務スペース、談話室、給湯室、エレベーターホール、玄関、よく行く居酒屋、バー、その時に使っていた小物、仕草など、思い出話一つに対して、絵で表現できるよう背景や補完情報を確認するようにしています。

(4)面談後の追加取材

AさんとBさんとで、同じ内容のことで日付が違う。といったことや、面談時には思い出せなかったけれど自宅に帰って調べてくださる場合なども多々あります。シナリオの作成時や、漫画にするにあたり、話にあったラーメン屋はどこのラーメン屋だったのかなどディテールに関して確認を取りたい場合も。そんな時は、必要に応じて面談後もメール等で追加取材をさせていただきます。

漫画の背景画の全ての細かな部分まで再現するのは難しいですが、できる限り忠実に落とし込むことで、取材対象者の方に自分の記憶が再現される喜びを多少なりと感じてもらいたいと考えています。

社史漫画をリアリティのある骨太な歴史資料にするために

ことほど左様に、文章に起こす以前に、資料の読み込み、取材には手間隙がかかります。ただ、その手間をかけることで価値ある歴史資料、また、リアリティのある骨太な社史漫画の制作が実現するのです。


神奈川県立川崎図書館他では、さまざまな企業の社史を所蔵しています。社史制作前に一度足を運ぶと参考になりますよ!社史漫画制作について、ご不明な点があればお問合せページよりご相談ください。