誰のための社史漫画か考えよう

社史を誰に届けるかをイメージしていますか。社史を単に企業の歴史資料の保存と継承だけと思っていませんか。社史は届ける相手に応じて様々な価値を発揮します。漫画となれば尚更「おもしろく」「読みやすく」「伝わる」ので、受け取った人に何を伝えたいかをしっかり想像してから製作を始めましょう!


創業者にとっての社史漫画

どんな会社にも創業者がいます。一人の場合もあれば、複数人による創業メンバーということもあるでしょう。必死に起業のための修行を経て、お金を貯めて設立したのでしょうか。親会社の中から上司に掛け合い、独立を果たしたのでしょうか。創業の物語は千差万別。それでも創業者が夢や信念を持ち、それぞれの希望や不安を抱えてスタートしているのがほとんどでしょう。そこからは順風満帆、何の苦労も心配もないままあれよあれよと大きく成長・・・とはいきませんよね。

どんなに涼しい顔をした創業者も、心底では資金繰りや、環境の変化、未知なるチャレンジで眠れない夜もあったことでしょう。それでも乗り越えてきたのは、責任感や「想い」があるから。

創業者がどんな「想い」によって苦難を乗り越え、チャレンジをし、今の会社の姿となっていったのか。社史漫画ならではの臨場感で表現していきたいものです。また、場合によっては創業社長のパートナーの一言が会社に大きな影響を与えていた。なんてこともあるかも知れません。当然、家族たちもまた創業者と同じくらい会社への愛着や誇りを持っていらっしゃるのではないでしょうか。そんな創業者ご本人だけでなく、ご家族にもまた社史漫画を読んでいただいて、振り返っていただけたら素晴らしいと思います。

社員にとっての社史漫画

当然、現役の社員たちにとって社史漫画は自分ごととして読めるはずです。テキストだけであったら、積まれてしまうかも知れませんが、漫画だったらきっと楽しんで読んでくれることでしょう。社史漫画のシナリオ次第では、もしかしたら登場人物として自分の顔を似せた形で登場することもあり得ますね。そうなれば一生の宝物になることでしょう。

社歴の長い社員でしたら、社史漫画の中の多くのエピソードに実際に触れてきた可能性があります。手に汗握ったエピソードが社史漫画の中で展開するのは結末が分かっていてもおもしろいことでしょう。同僚の登場に、「AさんとBさんはその後、結婚し2人の子宝に恵まれた」なんていう脚注が付けば、(良かったな〜)と思うか、(チクショー)と思うか分かりませんが、それもまた楽しい思い出の振り返りとなることでしょう。

若手社員は、今の安定した経営状況の会社が当たり前に思っていたり、守りの思考をよしと考えているかも知れません。それでも社史漫画を読む事で、自分の会社が過去にどれだけチャレンジを繰り返してきたのかを知り、自分たちも次の世代に向けて前向きな気持ちを持つはずです。また創業者同様、社員の家族たちにとっても、夫や妻が勤める会社がどういう会社なのか、文章で書かれた本よりは社史漫画のほうが気楽に読んでいただけることと思います。

未来の社員にとっての社史漫画

これはぜひ、意識しておいていただきたい読者です。まだ出会っていない未来の社員。社史漫画は、過去や現在に会社に関わった人たちだけが対象ではなく、未来にもコンテンツとしての価値を放つことでしょう。きちんと経営が続く限り、創業者がこの世を去った後にも会社は存続し、新しい社員を迎えることになります。そんな時に、この社史漫画を通じて、創業者の想いや言葉、行動を知ってもらい、紆余曲折、波乱万丈の創業期のエピソードや、会社の社風、文化に触れてもらうことで、時を超えた組織の一体感を得られることでしょう。

(ああ、創業者に実際に会って話を聞いてみたかったなぁ!)

そんな風に若者に言ってもらえるような社史漫画を作れるよう、意識して制作していきたいと考えています。

お客様にとっての社史漫画

「創業◯周年を迎えまして、漫画で社史を作ってみました。ご笑覧ください」

社史漫画を読む人のイメージ

そんな風に届けられる社史漫画。かつてほど漫画に対する見下したようなイメージはなくなりました。今やジャンプ、マガジンの読者層は子供ではなく20代、30代の社会人世代が中心に。またモーニングやスピリッツなどの青年誌に至ってはさらに読者層は上の世代に広がっています。手塚治虫を必死に読んで育った団塊の世代は、70代にさしかかっています。つまり、日本全体が漫画に慣れ親しんでいる世代で覆われるようになったためです。

取引先の社史。残念ながら活字で書かれた本だったら、よほどのことがない限り読まれることはないと思います。こればかりは仕方がないです。一生懸命、血眼を注いで相当な分厚さの立派な装丁になればなるほど開きにくくなるかも知れません・・・。(ごめんなさい!)

けれど漫画の単行本一冊程度だったなら。資料的な価値としては活字による一冊には敵わないかも知れないけれど、活字本の1/10の概略程度しか伝えられなかったとしても、社史漫画だったら開いて読んでもらえるチャンスがあります。社史漫画の価値は、そういう点にあります。社史を届ける営業マンから、

「社史漫画の中には、私も登場します。少し若めに、格好良く描いてもらいました(笑)」

なんて一言があったのなら、受け手としては社史とはいえ親近感を持ってパラパラと確認したくなるのではないでしょうか。

「おもしろく」「読みやすく」「伝わる」社史漫画

そんな訳で、社史で伝えたい創業者の想いや、社風、文化、紆余曲折の道のり、折角ならば「おもしろく」「読みやすく」「伝わる」社史にまとめましょう!いろんな立場の人の気持ちを動かし、いずれ必ず会社に貢献できます。

  • 創業者へのリスペクト
  • 社員たちの自己肯定感
  • 顧客との関係性強化
  • 文化、知識の継承
  • 未来の社員へのメッセージ

元来、概念でしかない法人という組織は、人やサービスが集まることではじめて存在します。だからこそ、歴史や様々なストーリーを通じて関係者みんなが想いを寄せられる社史漫画には大きな価値があるのです。


神奈川県立川崎図書館他では、さまざまな企業の社史を所蔵しています。社史制作前に一度足を運ぶと参考になりますよ!社史漫画制作について、ご不明な点があればお問合せページよりご相談ください。